じょいなすvol.20 インタビュー

川の図書館

Book Swap Japan 熊谷 沙羅(くまがい さら)さん

What’s 川の図書館?

毎週日曜日午前10時から12時まで,市民プール近くの多摩川河川敷で,寄付された本を無料で提供している循環型図書館を開いている。

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Q.どんなことがきっかけでこの活動を始めましたか?

小さいころから本が大好きでした。高校生になってからは忙しくて,本を読む時間が少なくなってしまっているのがくやしいくらいです。
2020年の春,コロナ禍で学校が休校,図書館が休館になってしまい,本に飢えていたので,この活動を始めることにしました。

学校や家で何かをやってみることはあったけれど,川の図書館が,“初めて世の中に出したもの”でした。自分のアイデアを出すことは怖いと思っていました。始めたころは大変で,人通りが多くてもスルーされていました。一番初めの日は本当に怖くて,どんな人が来るかわからないし「何やってるんだ」と言われたりなぐられたりしたらどうしよう,と本気で思っていました。

でも初日に来た人が,隣の市から自転車で50冊も本を持ってきてくれて,自分がやっていることが間違っていないんだ,と気づくことができ,そのあとも続ける理由になりました。

今では全国から本の寄付が集まっていて,家と倉庫を合わせて約7000冊あり,その中から毎週選んで持ってきています。前回と同じ本を持ってこないように気を付けています。前日準備は1時間くらいかけています。
今週は,最近寄付された新しい児童書と,利用している方からのリクエストで洋書を持ってきました。リクエストには応えるようにしています。

Q.この活動の魅力を教えてください!

毎週違う人が来てくれて,いろんな人に会えることです。これが屋外で活動する魅力だと思っています。ジョギング中の方が立ち寄ってくれることもあるし,自然豊かで四季も感じることができます。

私自身,話すことが大好きです。言葉が好きなのかもしれません。話し方が大人っぽいね,と言ってもらえることもあります。
常連の方は,本当のおじいちゃんみたいに仲が良いです。弟の大輔の Our living room café に来てくれていた人が,川の図書館に遊びに来てくれることもあってうれしいです。

Q.多摩川で活動してみてどうですか?

他の場所でできなかったので,最初はしかたなく多摩川で活動を始めたのですが,今では多摩川でしかできないこともあると感じています。
始めた時は2020年4月のコロナ禍真っ只中だったので,オープンスペースであるこの場所で始めました。
人通りが多くて立ち止まってくれる人がいるし,景色もよいし,今日の消防車の訓練みたいに,時々イベントが開催されているし,とてもいい場所でした。

Q.学業との両立など,大変なことはないですか?

しっかりJKしてます!時間はこじ開けてでも友達と遊んでいます(笑)
元々,普段から家でダラダラ過ごす習慣がなく,予定が入っていないと不安になるタイプです。
開催の前日に本を選ぶことや当日の本の運搬は大変だけれど,もう慣れているし,それ以外に大変なことはないです。

Q.これから挑戦していきたいこと(高校卒業後は継続する?)

BookSwapの活動は,全国で広がりを見せていますが,これまで,自分は目の前のことに向き合ってきただけで,活動の拡大を考えてきたわけでなく,自然に広がってきていました。

また,今は宮の下分館で本を運ぶボランティアをしているけれど,さらに自分自身の活動の幅も広げて,介護ボランティアもやってみたいと思っています。

Q.新しいことを始めたいと考えている方(学生・若者)へのアドバイス・メッセージをお願いします!

始めるときは立派なものじゃなくていいと思うんです。私も弟の大輔と一緒に,家にあった本70冊から始めました。
考え込んでしまうと,ある意味で壁をつくりがちで,一歩踏み出せない人もいると思います。でも,今あるものでどうやって最大限やるかが大切。

無理に社会貢献をしなきゃ,とか思わなくていいと思います。
私は,自分が楽しいからこの活動を続けられています。
やりたいことがあって,好きなことを継続することが,結果として社会貢献(居場所づくり)につながっています。