調布市制施行70周年を記念し行われた本イベントは、中学生から80代の方まで多世代にわたり87名にご参加いただきました。
13時の開場から徐々に人が集まり、お好きな飲みものを選んでいただきそれぞれの席へ。飲み物は多種多様なお茶、コーヒーやジュースをご用意しましたが、一番先になくなったのは、少し珍しかったのか「レモネード」でした(冬にはうれしいビタミン補給ができるからでしょうか)。
早めに会場に着いた参加者の皆さんは、調布の今昔を振り返るパネル、地域でさまざまな活動をしている地区協議会の紹介、地域福祉センターの利用者に書いてもらった「調布の好きなところ・思い出」、そして調布の子どもたちが作成した70周年ロゴのパネルを見て、お話をしながら写真を撮っていました。
それぞれの席に着くと「呼ばれたいお名前」を名札に書き、準備万端の様子。今回のイベントは会場の雰囲気もカフェらしく、テーブルクロスはまるでコーヒーで染めたようなクラフト紙を敷き、イベントの次第はカフェのメニュー風、人気のお菓子がテーブルのセンターに置かれ、会場の照明にはミラーボールも煌めきます。参加者を迎えるスタッフもカフェスタッフ風のドレスコードでお出迎えしました。
今回のイベント「KIKKAKEカフェ」は、お菓子を食べながら、まったりと、調布のことを話し合うというコンセプト。市長のあいさつに始まり、この10年を振り返るパートの後、パネリストによるトークセッションが行われました。
パネリストにお迎えしたのは、高見秀太朗さん、平澤和哉さん、そして西村達也さんです。
高見さんは調布市在住のピアニストであり、市民活動団体「MECP事務局」の代表として、全国各地でクラシック音楽を届ける活動をしています。東日本大震災を「きっかけ」に音楽を通して社会貢献をしたいという思いを持ち、今日まで活動を続けていらっしゃいます。
平澤さんは、NPO法人ちょうふこどもネットの理事長であり、若者の活動支援と地域をつなぐ活動など、「青少年」をキーワードにさまざまな活動をされています。西調布にある中学生・高校生世代のための児童館CAPS(キャプス)の館長としても、日々、若者を温かく迎えています。
西村さんは、ご夫婦でMinglelingo(みんぐるりんご)というアートユニットで活動をされており、アート作品を通じてあらゆる人と垣根を越えて心を通わせることを探求しています。活動の一つとして、ちょみっとの「居場所マップ」にも掲載されている飛田給にある「トビバコ」を運営されています。
パネルディスカッションの中でキーワードとして出てきたのが、「居場所づくり」でした。物理的な「居場所」だけでなく、ゆるやかなつながりが地域の中にあること、つながっている「感覚」が居場所でもあります。
高見さんは、「現代社会は限界にきていて、誰かではなくみんなで一緒にその辛さや課題感を和らげることが協働の考え方」と語ります。強く突出した「みんなを引っ張るリーダーシップ」で課題を解決するのではなく、それぞれの考えや強みを持ち寄って考える、和らげる、そうした課題解決の仕方を模索すること(あるいは、解決をしなくともそこが心地の良い居場所であれば)もまた、居場所の一つだという考え方は、活動をはじめようとする人、不安な人にとって支えになりそうです。
子ども・若者の居場所づくりをされている平澤さんからは、居場所を育てることの課題も共有されました。物理的に場所が少ないこと、広報が足りないことが現在の課題として挙げられました。課題はありますが、そうした中でも若者は活動し始めており、今は遠くに離れている調布出身の若者も、調布のことに関心を持ち、できる範囲で活動をしているといいます。未来を「担う」という言い方をされがちな若者ですが、担わせっぱなしではなく、どうしたら若者ができる範囲で活動や関係を維持できるのか、さまざまな世代で一緒に考えることが大切だと示されました。
西村さんは、自身の活動を振り返り、共生社会には「余白」が必要だと話します。富士見町の空き家で活動をしはじめ、当初は活動の持続可能性を模索していたとのこと。しかし、現在の拠点に移った際、空き家事業は定期借款のため明確な「終わり」がある中で、「場所の期限はあるけれど、それはそれで終わってもよいのではないか。その代わり、目に見えないものを継承したい」と思うようになったと語ります。思いや経験の種まきを通じて、次世代につないでいく、そうした強い気持ちと「他者を知りすぎず、一定のスペースを保ち、余白のある社会」という緩やかなつながりを目指しているというところに、今の社会のニーズを感じ取れました。
パネルディスカッションの後は、ピアニストの高見秀太朗さんと、バイオリニストの小野山莉々香さんによるミニクラシックライブの時間です。慣れ親しんだメロディの「わが町調布」から始まり、チャイコフスキー作曲の「懐かしい土地の思い出」より「メロディ」の演奏は郷愁を誘い、会場にしっとりと優しい雰囲気をもたらしていました。
続いて高見さんによる音楽解説があり、「音楽には2種類あり、一つは歩ける音楽、そしてもう一つは回る音楽である」とのこと。高見さんはピアニカを取りだし、「回る音楽」を体感してもらうべく、映画「ハウルの動く城」より久石譲作曲の「人生のメリーゴーランド」を演奏。ピアニカを手に会場内を回った後、壇上のピアノに戻りピアノとピアニカの二重奏をおひとりで!するさまに会場からは歓声が上がりました。
最後は、クライスラー作曲の「前奏曲とアレグロ」。この曲にも高見さんの解説があり、冒頭の「ミ」から「シ」を繰り返す意味として、ミからシは決意を、シからミは心の思いを表すとのこと。心の思いを決意として前に進める、このイベントにピッタリな選曲でした。
そしてこのイベントのメインである「ワールドカフェ」を実施しました。ワールドカフェとは,カフェのようなリラックスした雰囲気で少人数の対話を重ねる会議手法です。参加者は4〜5人のグループに分かれ、一定時間ごとにテーブルを移動しながら意見交換を行います。今回話し合ってもらったことは、大きく3つ:調布の良いところと課題、現在自分が取り組んでいること&10年後の未来について、そして将来の調布市への希望とそれに向けての取り組みです。
この手法の良いところは、自分が参加したい程度を自分で決め、話したくないことは無理に話さなくてもよいというところにあります。「無理に話さなくてもよい」という設定のため、よりリラックスできるのか、参加者は自由に会話を楽しんでいる様子でした。
発表も自主性にお任せし、発表したい人が手を挙げて、カフェで話し合われたことを共有してくださりました。居場所の拡充を求める声、地域の人とのつながりへの感謝、調布の今後のまちづくりについて、また中学生の参加者からの「課題はたくさんあるけれど、調布の良いところに目を向け、伸ばしていきたい」という発表に、会場中の人が力強く頷いていました。
今回のイベントは、MECPとともに、企画・運営をおこないました。MECPの皆さんにも多大な御協力をいただき実現できました。ありがとうございました。
参加者の皆さま、お忙しい中イベントにご参加いただきありがとうございました!今回のイベントが、調布のより良い未来を創る大切な「きっかけ」となりますように。皆さまの熱意と笑顔が、次の10年、さらにその先へと繋がっていくことを心から願っています。
🎉🎉参加者の皆さんがイベントの時に書いてくださった感想を掲載しています🎉🎉
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次の10年へのアクション

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