
「子どもたちのための居場所を作りたい!」
「楽しく暮らせる地域にしたい」
2024年12月、そんな思いから始まった子どもたちや親子のための居場所「染地びすけっと」は、多摩川からほど近いところにある、染地地域福祉センターで月1回、第一土曜日に開催されています。利用できるのは地域の子どもたちとその保護者。毎回、おにぎりやお菓子、飲み物を無料で提供し、お昼から夕方まで、子どもや親子が自由に過ごせる場を提供しています。
みんながほっとできる居場所を作りたい
「染地びすけっと」を立ち上げ、以来ずっと運営を行っている代表の安保久恵さんに活動の根底にある思いや、これまでの経緯についてお話を伺いました。

▲安保さん(左)と染地ボランティアコーナーの渡邉さん(右)
「学校が休みの日に遊び場を探している子や、親が仕事のため一人でお昼ご飯を食べている子どもたちが気軽に行ける場所を作りたいと思ったのが活動のきっかけです。
私自身、かつては子育てをしながら忙しく働いて地域で同じように働く親たちと協力して、何とか乗り切った経験があります。子育ては家庭だけでは抱えきれないことも多く、地域の方たちに助けてもらうこともありました。そのような経験があるので、今子育てをしている人たちを少しでもサポートできたらいいな、という思いから子どもの居場所を作ろうと考えました。
自分が子育てをした染地地域で活動したいと考え、渡邉さんに相談したところ、染地地域福祉センターの和室を月1回なら使えることがわかり、活動をスタートすることができました」
ちなみに、「染地びすけっと」という名前の由来は「be助っ人」。地域で「支える人」でありたい、そうなろう、という意気込みが感じられますね。
時間や活動に追われずリラックスできる時間
取材に伺ったのは9月。2種類のおにぎり、お菓子の詰め合わせ、飲み物が用意されていました。1人、2人、3人と、続々と子どもたちや親子が集まり始めます。

参加者は受付で名前を書き、それぞれおにぎりとお菓子、好きな飲み物を受け取ります。特に決まったスケジュールはなく、過ごし方は自由。友達とおしゃべりをしながらおなかを満たす子もいれば、ボランティアの方と折り紙などを楽しむ子も。毎回20人~40人程度が参加していて、子どもだけの参加も、親子一緒の参加も大歓迎で出入りも自由。リラックスして過ごせる居心地の良さが広がっています。小学校のお友だちと誘い合って参加している子もいて、学校とはまた違うリラックスした空間で友達と遊べることを楽しんでいる様子でした。

▲まずはおなかを満たしてから、遊びます。

▲和室の一角には折り紙コーナー。ボランティアさんが優しく教えてくれます。
ときには、季節ごとのお楽しみイベントも
この日は夏のスペシャルイベントとして、かなりレトロなかき氷機(かつて染地にあった飲食店から地域住民が譲り受け、大切に保管していました)が登場!
子どもたちに呼びかけをすると、すぐにかき氷機のもとへと集まって行列に。
「私はこの味にする!」
「練乳もかけていい?」
思い思いに好きなシロップを選び、友達の選んだ味と見比べながら嬉しそうに食べる子どもたちの様子が印象的でした。

▲好きな味のかき氷を食べながらおしゃべり♪

▲ボランティアスタッフの方々(左から武田さん、大菊さん、そらさん)
かき氷機でひたすらがりがりと削っていたボランティアのそらさんは、実は幼いころからこの地域で育った大学生。「染地はすごくいい地域。自分も子どものころ、地域の大人の人たちにたくさんお世話になり、育ててもらったと感じています。だから、今度は自分がボランティアをして恩返しがしたい。そう思って活動に参加しています」と話してくれました。
「染地びすけっと」には他にもたくさんのボランティアスタッフが参加しています。
周りの人からダディーと呼ばれているリッチマンさんもその一人です。

▲通称「ダディー」と呼ばれるリッチマンさん
リッチマンさんは、温かく優しいまなざしで子どもたちを迎える大人気のボランティアスタッフ。来日して30年以上で流暢な日本語を話される頼もしい存在です。ご自身が子育て中に利用していた地域の公園で、お子さんが成長された今でも自主的に子どもたちを見守り続けていらっしゃるという、稀有な存在。今や地域からの信頼も厚く、染地で子育てをしている人で知らない人はいない?とさえ言われている方です。
手作りのオリジナルゲームを持参して、子どもたちに遊び方を説明していたのは、ボランティアスタッフのしゅうやさん。手作りのあたたかさを大事にし、コンセプトやルールもご自身で考えているそう。この日のゲームは明治、大正、昭和、平成の流行曲を裏返しにしたカードから探し出し、各時代1枚ずつ獲得した人が勝つ、というもの。
子どもたちはこのオリジナルのゲームに興味津々で、ルール説明を受けると早速、熱心に遊んでいました。

▲毎回、いろいろなオリジナルゲームを持ってきてくれます。
さまざまな遊びを通して生まれる関わり
「染地びすけっと」ではさまざまな遊びを通して、年代を超えた関わりも自然と生まれています。たとえば、折り紙サークルの方がやってきて折り紙の折り方を教えてくれたり、けん玉やあやとり、お手玉などのおもちゃをボランティアの方が持参したり。子どもたちが自由に遊べるような環境が少しずつ充実してきているのだそう。

▲上手にお手玉をする姿に、子どもたちは尊敬のまなざし。

▲すっかりお手玉にハマり、楽しそうな子どもたち。
ボランティアさんは主に代表の安保さんが知り合いに直接声をかけたり、地域福祉センターの利用団体イベントに参加したこともきっかけとなり、少しずつ増えているとのこと。それぞれが自分の得意なこと、できることを無理なくというスタイルです。だから、ボランティアさんたちも子どもとの交流を楽しみに、楽しく参加できているのでしょう。そんな温かい雰囲気が自然と伝わるから、子どもたちは安心して過ごせるのかもしれません。
親にとっても「ありがたい」場に
常連である4人のお子さんのママで、「染地びすけっと」のリピーターさんにお話を聞きました。
「土曜日にこういう場があることで、本当に助かっています。なによりここでお昼を食べられるのがありがたいです。休日の食事作りだけでも本当に大変なので…。ボランティアさんたちもいい人たちばかりで、安心して子どもを遊ばせられますし、親もホッと休まる時間になっています」
子どもにとって楽しいのはもちろん、親にとっても日々の子育ての大変さから少し解放される、貴重なひととき、大切な場になっているようです。
「染地びすけっと」のこれから

▲折り紙で作った、ボランティアさんお手製のパズルに夢中。
「今は月に1回の開催ですが、今後は月に2回の開催が目標です。さらに、学校に行きづらさを感じている子や不登校の子の居場所作り、参加しているご家庭の中で生活に不安や困りごとを抱えている方々のためのフードパントリー(食料支援)の開催も視野に入れています」(安保さん)
少しずつ協力する人たちが増え、活動内容が充実しつつある「染地びすけっと」。地域のお祭りなどイベントにも積極的に参加し、活動の輪を広げています。

▲地域のイベント「ボランティア祭り染地」に参加して焼きそば出店(写真提供:安保さん )

▲参加したボランティアメンバー(写真提供:安保さん )
取材を通して、子どもたちと関わることを楽しみながら、未来を生きる子どもたちを地域で育てていきたいという温かな思いが感じられました。
※現在「染地びすけっと」では、開催の告知を杉森小学校と染地小学校に協力を依頼し、学校連絡アプリ「すぐーる」を通じて保護者や児童にお知らせしています。
取材・執筆・撮影:コサイト編集部(NPO法人ちょうふ子育てネットワーク・ちょこネット)
ちょみっと「居場所マップ」にも、染地びすけっとの情報を掲載しています。
※「居場所マップ」とは、調布市内の家庭でも学校・職場でもない第3の居場所 “サードプレイス”を掲載しているマップです。

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