多世代が交流できる場を目指して

京王線つつじケ丘駅南口出口から徒歩2分のところにあるカフェ「空と大地と」(社会福祉法人新樹会が運営)のスペースを借りて毎月活動を行っているのは、多世代が集い活動するコミュニティ「空とべ!つつじ」。さまざまな活動を通して地域に住む方々が集い、交流できる場作りを行っています。取材した日は年末に予定していたクリスマスイベントの準備中。イベント当日に訪れる子どもたちのため、おしゃべりを楽しみながら手を動かしていました。

つつじケ丘エリアに多世代交流の場をつくりたい

ことの始まりは、場作りのためのプロジェクトチーム「コミプロつつじ」の誕生に遡ります。令和2年12月に地域住民が集まれる場を増やすために発足。地域住民、東京さつきホスピタルのケースワーカー、作業療法士に加え、このエリアで活動する3つの地域包括支援センター(つつじケ丘・仙川・至誠しばさき)、調布ゆうあい福祉公社(外部サイト)調布市社会福祉協議会(外部サイト)がチームを組み、多世代交流を目的とした場作りに取り組みました。

そして令和4年3月、地域住民のアイデアから生まれたのが「空とべ!つつじ」です。子どもから高齢者まで、誰もが自由に集まれる場所として、「空と大地と」のカフェスペースを借り、毎月第4土曜日に活動を行ってきました。

 

「空とべ!つつじ」の活動スペース、カフェ「空と大地と」

「空とべ!つつじ」に参加しているのは、地域の親子やシニアのみなさん。これまでの活動では子どもたちも楽しめるよう、折り紙や工作、絵本の交換会、絵本の読み聞かせ、人形劇などを実施。ほかにも、バザーやマリンバのプロ奏者(地域の住民の方)によるマリンバコンサートも行われました。

ホンモノの電車車両「ハチゴー」でのクリスマスイベント

中でも大掛かりな企画となったのが、令和6年12月21日「空とべ!つつじ」のメンバーが主催するクリスマスイベントです。会場は東京さつきホスピタルの敷地内に設置されている東急8500系車両、通称「ハチゴー」!

東京さつきホスピタルに併設されている東急8500系車両。通称「ハチゴー」

イベント当日は12月としては暖かな晴れ。日差しが差し込む明るい電車内には、画用紙で作ったクリスマスツリー(もみの木)が窓に貼られ、吊り輪には来場する子どもたちへのプレゼントとしてお菓子の入ったクリスマスラッピングの袋やブーツが飾られていました。子どもたちがクリスマスツリーの飾り付けを楽しめるよう、リボン、星型の飾り、折り紙などが用意され、BGMにはクリスマスソングも流れています。

車両の外にはベーゴマ体験のスペースも準備万端!来場者を待つばかりとなりました。

電車の隣がベーゴマ体験スペースに

オープンと同時に、幼児から小学生ごろまでの親子連れが続々とやってきました。メンバーのみなさんが「一緒に飾り付けしましょう」と誘うと、はじめのうちは少し緊張した様子で、でも嬉しそうに飾り付けを始めていきます。

「上手に貼れたね!」
「次はこれ(星の飾り)はどう?」

などと声をかけていくと、子どもたちもエンジンがかかってきたようで、元気いっぱい、積極的に取り組み始めました。

飾り付けで盛り上がる中、メンバーによるハーモニカ演奏も始まりました。参加してくれた子どもたちが、クリスマスソングに合わせて歌を歌います。見守る大人も歌を歌いながら拍手でリズムをとります。お手製のぬいぐるみも歌に合わせてダンスを始め、子どもたちは興味しんしん。車内はすっかり和やかな雰囲気に!世代を超えた交流を楽しむことができました。

また、車両内では、運転席が解放されていて、運転手気分を楽しむ親子も(現在、一時的に運転席は閉鎖中)。電車の運転ハンドルを操作したり車内アナウンスをしたり。気分はすっかり運転手さんです。

外に出ると、ベーゴマ遊びが始まっていました。ベーゴマの先生にコツを教わりながらコマにひもをかけ、子どもたちもくるくると回してひもをセットしていきます。

「コマを回すには引くタイミングが大切だよ」
「しっかりひもをかけて」

ベーゴマは初めてという子どもたちも、諦めることなく一生懸命にチャレンジ。

「昔やったことがあるのだけど、思い出せるかなぁ」と、大人たちも一緒になってベーゴマを楽しみます。

カフェで一休み。ほっと温まる時間に

電車での遊びが終わったら、カフェ「空と大地と」に移動して一休み。店内ではホットチョコレートやジュースなどの飲み物が振る舞われていました。

「空とべ!つつじ」が活動する場でもあるカフェ「空と大地と」の山之内光さん(社会福祉法人新樹会 利用者支援科主任)にお話を伺いました。

「カフェの営業時間外を使って地域の人たちの交流が深まり楽しんでもらえたらと考え、場の提供を行っています。毎月第3土曜日に私たちが主催する子ども食堂『しょくじが丘』や、第4土曜日に行っている『空とべ!つつじ』の活動を通して、多世代が交流し、さらにはカフェをはじめとする、当法人が運営する施設や隣接する東京さつきホスピタルの事業にも関心をお持ちいただき、理解を深めていただく機会になるといいなと思っています」

令和7年度には活動を一新!ますますの進化を目指します

地域の方々が自主的に活動を行えるよう、サポートを行っている地域包括支援センター仙川の田中真理さんに「空とべ!つつじ」の活動についてお話を伺いました。

「地域の方との会話を通じて、多世代交流という言葉が出てきたことをきっかけに、小さい子どもから高齢者まで、いろんな年代の方が自由に集まれる場として生まれたのが『空とべ!つつじ』です。地域の方々は、若い世代が仕事や子育てに忙しくしている様子を見て、何かお手伝いをしたい、親子でくつろげる場を提供したいと考えています。今日のイベントではシニアのみなさんと子育て世代の交流が深まっている様子が見受けられ、メンバーのみなさんもきっと手応えを感じてくださったと思います。とはいえ、これまでの活動を通して、『場の運営』を継続することの難しさも感じています。そのような課題を踏まえ、来年度以降も、参加するみなさんがより主体的に活動できる場を作っていきたいと考えています」

「空とべ!つつじ」の活動をきっかけに交流が生まれ、そこに住む住民自らが主体となって活動を行うことでつつじケ丘地域がより暮らしやすい街にきっとなる!そんな想いを感じる一日でした。

 

取材・執筆・撮影:コサイト編集部(NPO法人ちょうふ子育てネットワーク・ちょこネット(外部サイト)