地域をつなぐネットワーク
「地区協議会」を知っていますか?
調布市内の市立小学校区ごとに地域住民や各種団体が集まり、まちづくりのために自主的に活動している「地区協議会」。何となく聞いたことがある、という方は多いかもしれませんね。メンバーは地域によってさまざまですが、地域にお住まいの方や自治会、健全育成推進地区委員会、学校開放運営委員会、小中学校のPTA、消防団など地域の諸団体が連携し、力を合わせて地域の課題解決に取り組んでいます。調布市内では現在20の小学校区のうち17地区(2022年1月時点)で地区協議会が活動中! 活動内容や活動に対する思いについて、今回は3つの地区協議会の方にお話をうかがいました。
■座談会にご参加いただいた方(写真の左から)
若葉学校地区協議会 会長 藤丸卓男さん
石原小学校地区協議会 副代表 二宮喜恵子さん
こくりょう・みんなの広場 会長 宇治和子さん
――地区協議会では、どんな活動をしているのでしょうか。
宇治さん 各地区協議会がそれぞれの地域性に合わせて活動を行っていますが、国領では防災訓練や防犯パトロール、清掃や花植えなどの美化活動のほか、地域運動会やお祭りなど地域行事のお手伝いをしています。地域で活動する各団体との情報共有のため、コロナ以前は代表者が集まる運営会議を年に6回ほど実施していました。
地域交流については、子どもたちと地域のつながりを大切にしたいという思いで、例年は夏休みと冬休みに「宿題やるとこ遊ぶとこ」というイベントを開催しています。年末には子どもたちと一緒に「火の用心」と唱えながら拍子木を打ち鳴らしてパトロールしたこともあります。
防災訓練や地域運動会、児童館まつり、通学路清掃など地域イベントに参加してスタンプを集めるスタンプラリーが人気で、コロナ以前は年間15回ほどある行事すべてに参加した子もいました。イベントごとに主催団体は異なりますが、地域のみんなで協力しながら一体となって盛り上げています。
二宮さん 石原小学校地区協議会では、コロナ以前は情報共有のための定例会を月1回開催し、広報誌「ふじみ」を2カ月に1回発行。さまざまな団体と情報交換する地域団体連絡会も開いていました。地域運動会のような大きなイベントでは、地域の複数の団体が協力し、地区協議会のメンバーが1つのチームとなって手伝います。定例会や広報誌で各団体の活動状況や予定がしっかり共有されているので、うまく連携できています。
美化活動も行っています。最近では、石原小学校の前にある鬼太郎公園と天文台通りに面した西町公園にチューリップの球根とパンジーを植えました。また、例年どんぐり林公園の整備も行っています。地区協議会が作った「落ち葉だめ」からカブトムシの幼虫がたくさん出てきて子どもたちが大喜びしたこともありました。
コロナ禍で活動できない時期が続きましたが、また以前のように、さまざまなイベントを通じて地域の方々の交流を図っていきたいですね。
藤丸さん 若葉学校地区協議会の主な活動は、防犯パトロールや防災訓練、情報共有のための定例会議、広報誌「地区協わかば」を通じた広報活動です。
防災の面では、年に1回行われる防災訓練と「四つ葉学校防災協議会」という調布市立第四中学校と調布市立若葉小学校協同の防災組織に参加しています。四つ葉では夜間の避難所設営や避難者の誘導など一連のシミュレーションを中心に行っています。
道路や公園のゴミ拾いや違法ビラの撤去といった美化活動は防犯パトロールをしながら行い、小学生の下校時の見守りサポートも、地域の諸団体と協力しながら行っています。
また、若葉地区ならではの地域交流イベントといえば音楽祭だと思います。近くに桐朋学園があり音楽に親しむ方も多いことから、地域の音楽家の方々にご協力をいただき「若葉の杜の音楽会」を開催しています。その他、夏まつりの会場設営の手伝いや模擬店の出店、小学校で実施される自転車教室の手伝いなどもしています。
――活動を通して地域の方とのつながりも広がりますね。
宇治さん はい、日頃から顔が見える関係が作られていますので、たとえばイベントのお手伝いを募ると皆さんが快く協力してくれます。例年行っている防災訓練では複数の体験コーナーがあるのですが、スタッフだけで100名近く集まるほど(笑)。こうした活動を通して自然と知り合いが増えていきます。何かあったときに「あの人に相談してみよう」と思えるような地域のつながりが増えるといいなと思っています。
二宮さん 私たちの地域では、子どもたちとの関わりという点では、パトロール隊として小学生の登下校時や校外学習の際の見守りを行っています。最近は登下校時に家の前を通る子に「おはよう」「おかえり」と声をかけると、恥ずかしがって返事がないこともあり少しさみしいです(笑)。地域の学校公開の際には私たちも足を運びますし、地区協議会の会議に参加してくださる校長先生から学校の様子をうかがう機会もあります。
――ところで、みなさんが地区協議会に参加したきっかけは?
藤丸さん 私は地区協議会設立のお知らせを見て自ら参加しました。サラリーマンとして働いていた頃は、たとえば地域のお祭りはどんな人たちがやっているかなどまったく知りませんでした。定年後時間ができたこともあり、たまたま地区協議会に参加することになり、はじめて自分が暮らしている地域のことがいろいろ分かり良かったです。
――サラリーマンだった方が地区協議会に参加するのは珍しかったのでは?
藤丸さん いや、そんなことはないですよ。地区協議会メンバーというと地元の名士や昔からの地主さんのイメージがあるかもしれませんが、意外とサラリーマンも多くて。私が「サラリーマンだったので地域のことは分からない」と言うと「こっちも元サラリーマンだよ」という感じで、思いの外すんなりと入れました。
二宮さん 私は結婚して調布に移り住んだのですが、はじめは地域の子ども会の世話役をやっていて、それから小学校のPTAや学校開放の委員長を経験し、その後、地区協議会に入りました。
――PTAの活動を通して、地区協議会につながるケースは多そうですね。
宇治さん 私の場合は健全育成推進地区委員会の委員だったことが縁で誘われ、地区協議会に参加しました。それにね、私は国領に長く住んでいるので、とにかく地元愛が強いんです(笑)。自分たちが暮らすまちを地域のみんなでより良くしたいという思いで、楽しみながら活動しています。
――素敵ですね! では最後に、今後の課題や取り組んでいきたいことを教えてください。
二宮さん 当面は感染症の状況を見ながら、目の前の課題を1つ1つこなしていくことになると思いますが、若い方の参加が増えるとうれしいですね。できるときにできる範囲で参加するというスタンスで無理なく活動できるので、働いている方も子育て中の方もぜひ参加していただきたいです。
藤丸さん 私たちの地区では新しくやりたいことやアイデアはあるのですが、運営面では役員の世代交代が課題となっています。創設から12年経ち、そろそろ次の世代に繋いでいきたいと思っています。50歳、60歳でもじゅうぶん若いので大歓迎! ぜひ参加していただきたいです。
宇治さん 私も新しく参加してくださる方が増えるといいなと思っています。東日本大震災から10年の節目ということもあり、防災情報の周知に力を入れて、いざというとき、遠くの親類より近くの他人というように、地域で助け合える関係づくりをしていきたいです。
――現在どの地区協議会でも一緒に活動する仲間を募集中とのこと。地域の一員としてまちづくりに関わってみたい方、興味をお持ちの方は、お住まいの学校区の地区協議会、または調布市協働推進課までお問い合わせください。
取材・執筆・撮影:コサイト編集部(NPO法人ちょうふ子育てネットワーク・ちょこネット)
地区協議会ページ(ちょみっと内)
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- 調布市 生活文化スポーツ部 協働推進課