調布市内には地域のつながりづくりや、活性化をうながす組織があります。それはたとえば「自治会」や「地区協議会」などさまざま。そんな地域コミュニティ同士がつながり、連携することを目的に、調布市に協力いただいているのが「コミュニティ推進協力員(※)」のみなさんです。

今回は、コミュニティ推進協力員として活動している5人のみなさんに、調布市緑ケ丘の団地内にあるコミュニティカフェ「ほんのもり(外部リンク)」にお集まりいただき、地域やコミュニティへの思いを語り合っていただきました。

※コミュニティ推進協力員は調布市コミュニティ推進協力員要綱において「地域に関する幅広い知識と活動経験を有し、地域のコミュニティ形成に熱意のある市民」に対し、協力を依頼しております。

【コミュニティ推進協力員のみなさん】
カッコ内は協力員の皆様が携わっている、または携わった代表的な地域活動
佐藤 惠子さん(多摩川地区協議会(外部リンク)、元PTA会長 等)
林 義之さん(下佐須自治会長、ボーイスカウト 等)
林田 紀子さん(地域学校協働本部(外部リンク)コーディネーター、布田小地区ハッピータウン協議会(外部リンク) 等)
児島 秀樹さん(緑ケ丘・仙川まちづくり協議会グッドモーニング調布!(外部リンク) 等)
濱野 光伸さん(地域学校協働本部コーディネーター、健全育成推進柏野地区委員会(外部リンク)、元PTA会長等)

※取材の際は換気を十分に行い実施しました。

地域活動に参加した「それぞれのきっかけ」

―自己紹介をお願いします。

児島さん 仙川に暮らすようになり18年ほど、地域の清掃や緑化活動を行っています。街なかで養蜂を行う「みつばちプロジェクト」では仙川駅前のマンション屋上にみつばちの巣箱を設置して養蜂を行っています。私たち自身が緑化活動で植えた花々からも蜜を集め、できあがった蜂蜜を地域のみなさんと一緒に食べる…これが最高に楽しくて!緑ヶ丘・仙川まちづくり協議会でも環境部会に所属しています。

児島秀樹さん「環境をテーマにしてコミュニティを作っていきたいですね」

林田さん 私は4人の子どもを、布田小学校区内で育てました。小学校では布田小学校開放運営委員会副委員長、PTA会長、その後は健全育成推進布田地区委員会の会長をやらせていただいております。そして布田小エリアで地区協議会を立ち上げる話が持ち上がった矢先、東日本大震災が発生。防災の必要性を痛感し、地区協議会(布田小地区ハッピータウン協議会)立ち上げに関わることになり、副会長を務めて11年です。

林田紀子さん「地域防災のためにも地区協議会は必要だと考えました」

林さん 私は佐須地域の自治会で活動しています。私が所属する下佐須自治会は他2つの自治会と一緒に佐須ふれあいの家(外部リンク)を運営しています。以前は健全育成推進柏野地区委員会の会長も務めていました。佐須地域にある各団体はしっかりとつながっているのですが、やはり何かあったときにすっと集まることができるのか…と考えたときに難しいと感じることが多く、今は地区協議会設立に向けて頑張っているところです。

林義之さん「より一層のつながりづくりが必要だと感じています」

佐藤さん 私は多摩川地区協議会の立ち上げから関わっていて、今は副会長をさせていただいております。子どもが小学生のときにはPTA副会長、その後調布市立第五中学校ではPTA会長も務めました。その頃、教育現場のなかで課題があり、PTAとして精一杯協力し、学校のムードを大きく変えることができました。その取り組みが評価されて優良PTA文部科学大臣表彰をいただいた経験が、現在の地域活動の原点となっています。

―中学校のPTAでは、すごい体験をされたのですね!

佐藤さん 課題を解決するために、これは先生と保護者が団結するしかないということで、各クラスで先生を囲み懇談会を実施しました。その後、たとえば花壇づくりをしたり、PTAの合唱部を立ち上げたり、色々な行事に保護者が参加して子ども達を見守るようになってから少しずつ学校のムードが変わっていきました。

―地区協議会では防災に力を入れているそうですね。

佐藤さん 多摩川地域は水害のリスクが高いので、水害に特化した避難訓練を毎年実施しています。

佐藤惠子さん「水害に特化した避難訓練は毎年実施しています」

濱野さん 私は林さんと同じ下佐須自治会に所属しています。地域活動を始めたのは5年ほど前。小学校のPTA会長を経て今は健全育成推進柏野地区委員会の会長を務めています。子どもは中学生になりましたが、今も小学校の地域学校協働本部コーディネーターもやっています。地域のために何か尽力できることがあるのではないかと思っているこの頃です。

―濱野さんが地域活動にデビューするきっかけもPTAですか?

濱野さん はい、そうです。実は子どもが小学3年生まではほとんど学校との関わりはありませんでしたが、PTA会長になりいろいろな課題があることを知りました。たとえば「ポイント制」です(皆が平等にPTA活動に参加するために、PTA活動に参加すると点数が付与されるシステム)。話し合った結果、できる人がやればいいとなり、やめることにしました。またコロナをきっかけにデジタル化も一気に導入が進みました。会議はZoomを使い、その時間に参加できなかった人は録画を見てもらうなど、柔軟な対応が可能になってきていると思います。

―最近ではPTAの仕事をアプリで募集するという学校もあります。

濱野さん 柏野小学校PTAではもう3年前から導入しています!もちろん全員がアプリを使っているわけでもないので、紙でのお知らせも残してはいますが、業務量は大幅に減らせます。

濱野光伸さん「PTAの活動がきっかけで、地域活動にハマりました」

―濱野さんをコミュニティ推進協力員に推薦されたのが林さんだとうかがいましたが。

林さん 地域活動を通して濱野さんに出会うことができて、本当によかったと思います。自治会は高齢者が多くて下佐須自治会もほとんどが75歳以上。若い人が入りにくい状況です。地区協議会の立ち上げに向けては、ぜひ濱野さんのような若い人たちが、デジタルも活用しながら作っていってほしいと思います。

あらゆる世代を「孤立させない」ために

―地区協議会を作るメリットは?

林田さん 地区協議会にはPTA、布田小学校開放運営委員会、健全育成推進布田地区委員会、自治会、児童館、地域包括支援センターなどの他、地域の有志も加わって活動しています。直接顔を合わせてお話しすることで、互いの活動を知ることができますし、地域のさまざまな情報も入ってきます。

―布田小ハッピータウン協議会では、ピンクの帽子がトレードマークだとか?

林田さん 布田小の校門がピンク色、以前は学校でうさぎを飼っていたということで、うさぎのキャラクターがついた帽子を作りました。年に2回ほどメンバーで地域を歩いて、通学路の危険箇所や災害時の避難ルートなどをチェックしています。情報は協議会のHP(外部サイト)にも掲載されています。

布田小ハッピータウン協議会の街歩き「ハッピーウォーク」は年2回開催。

―より多くの方に情報を届けることができますね。

児島さん 一人では視野も限られてきますよね。僕は地域に知り合いはほとんどいませんでしたが、自宅マンション周辺でゴミ拾いを始めてからはどんどん広がっています。地域ではいろいろなチャレンジができるし、人々も応援してくれる。若い人たちが活躍できる、楽しい場がたくさんあるのも地域だと思います。

―佐藤さんがお住まいのエリアはマンションが増えたそうですね。

佐藤さん マンション住まいの方が多く、自治会への加入も難しかったりして、どうしても人間関係が希薄になっているように感じます。どうしたらつながることができるか…と日々考えているところです。災害時、地域の情報は地域のSNSなどが有効です。そういった情報が少しでも多くの方に届けばいいと思い、高齢者のみなさんがスマホに親しんでもらえるような企画も考えています。

多摩川地区協議会主催の防災訓練

林さん うちの地域はマンションが少ないので、比較的つながりやすいかもしれません。いろいろな団体同士も仲良く、お年寄りから小さいお子さんまで幅広く付き合いがあります。私はボーイスカウトもやっているので、子どもたちと触れ合う機会も多く、地域の中で本当にたくさんの方たちとの交流を楽しんでいます。

佐須地域自治会のバーベキュー大会(写真はコロナ禍前のもの)

―多世代が交流されているのですね。林田さんの地域では子ども食堂もやっておられるとか。

林田さん コロナ禍前は地区協議会主催で、2〜3ヶ月に1回程度、自治会館で子ども食堂を実施していました。今は「ランチパック」という形で食品を配っています。地区協議会のメンバー以外の方もお手伝いしてくださるので、そういう活動を通して地区協議会を身近に感じてもらえているかもしれません。

佐藤さん 私達の地区でも、フードパントリーを実施しています。自治会や消防団などたくさんの人たちが集まり賑やかにやってはいるのですが、インターネットで申込みを受け付けているので、インターネットが使えない本当に必要な方に行き渡っているか…と、もどかしさも感じています。

―リアルなつながり作りも必要なのですね。

児島さん 僕は日頃の活動を通して地域のいろいろな団体、商店会、農家さんたちが混ざり合い、若い人たちも活躍していると感じることができました。活動を通して知り合い、新旧の住民が混じり合うチャンスも作れると思います。

―仙川では鯉のぼりを飾るイベントもありました。

児島さん 暮らしていても「仙川」という川があることを知らない、どこに流れているか知らない人は意外と多いのです。そこで小学生に作ってもらったたくさんの鯉のぼりを仙川に飾りました。地域の自然環境に目を向けてもらえるよう、これからも環境をテーマに活動していきたいと思っています。

仙川にたくさんの鯉のぼりが現れ、人々の目を楽しませました。
座談会は終始なごやかでした。手でコミュニティの「C」を作って。

取材・執筆・撮影:コサイト編集部(NPO法人ちょうふ子育てネットワーク・ちょこネット(外部サイト))
取材・撮影協力:ほんのもり(外部サイト)

関連動画(YouTube)