POSTO建物外観

 

誰もが自由に過ごせる場

POSTO

京王線仙川駅から徒歩1分。郵便局と通りを挟んで向かいに「POSTO」がオープンしたのは2021年3月のこと。POSTOとはイタリア語で「場所」という意味。2年ほど前に調布市緑ケ丘にできた「ほんのもり」を運営するメンバー(田中東朗さん、富池亮太さん、加賀広樹さん)が、2021年3月にオープンしたスペースです。

 

コーヒーなどの飲み物や軽食を提供していますが、オーダーしなくてもOK。誰かと話したり、チェスをしたり、本を読んだり、何かを作ったり…とくに目的がなくても誰でも自由に過ごすことができます。

DRINKとFOODのメニュー表

曲線が美しいベンチが印象的な店内。

曲線が美しいベンチが印象的な店内。

作業スペースも。工具なども揃えている。

作業スペースも。工具なども揃えている

高齢者向けプログラム「シナプソロジー」も

オープンして間もないPOSTOではすでにさまざまな企画が実施され、活気に溢れています。たとえば仙川在住のカフェ店主が中心となって開催している「みんな食堂 仙川スープ(子ども食堂)」もその一つ。子ども食堂をやりたいという人がPOSTOという場を得て、2021年6月からチャレンジがスタートしました。

他にも、さまざまなイベントが開催されていますが、7月から始まったのが「高齢者向けの体操クラブ」です。実はPOSTOの立ち上げには調布市社会福祉協議会の地域支援コーディネーターも関わっていて、この体操クラブも社協の提案を受けて実施されることになりました。

9月に開催された2回目の体操教室では、POSTOの田中さんが講師として「10の筋力トレーニング」を指導。参加者はいずれもPOSTOは初めてという人たちばかりでしたが、和やかなムードでスタートしました。

参加者が椅子に座り手をあげている様子

参加者が椅子の背に手を置き、片足をあげる様子

 

初めての場所ということもあり、参加者の皆さんはやや緊張した面持ち。けれど、体を動かしているだけで少しずつ気持ちもほぐれてきたようでした。体も心も温まり、笑顔が見られるようになってきたところで、ひとまず休憩。

向かい合い2人で話をする様子

続いて、講師の伊藤智子さんによる「シナプソロジー」に挑戦しました。シナプソロジーとはいわゆる「脳トレ」の要素がたっぷり入ったエクササイズ。手や足を講師の指示に従って動かすのですが、これがなかなか難しい…!実は音楽家でもあり、シナプソロジーのインストラクターをはじめ、リトミックなども指導できる伊藤さん。美しくハリのある声で、ときには音楽をかけながら盛り上げていきます。

リズムの音符が張られた壁

参加者が椅子に座り手をあげている様子

「なかなかうまく動かせないわ」
「難しい!」
といった声もありましたが、実は体の動かし方に迷っているときこそ脳が刺激されているタイミングなのだとか。上手にできなくても大丈夫。座ったままの運動がほとんどでしたが、気づいたらみなさんじんわりと汗をかき、笑顔が溢れていました。

輪になって座る参加者。手を伸ばしている。

参加者の一人は「今日は久しぶりに、しかもこんなに若い人たちと一緒に過ごすことができて、とても嬉しかった」としみじみ。コロナ禍で外出も我慢して過ごしてきたけれど、体がなまってしまったので思い切って参加したとのこと。「近所にこんないい場所があったなんて!また来ますね」と嬉しそうに帰っていきました。

参加者と話をしている様子

帰宅する後姿

その人の「色」が出ればそれでいい

体操教室の後、運営者の一人である田中さんにお話を伺いました。
「POSTOはオープンして半年ですが、わりとうまくいっていると思います。何が何でも子どもから高齢者までが集う場所であれ、と考えているわけではありません。僕たち自身が楽しくて居心地のいい場所にしていこうとすれば、自然と自分たちの色が出てくると思っています。ここに来る人達は、たとえば店頭に掲示しているものを見たり、中を覗いて「大丈夫そうだな」と感じてなのか、少しずつ入って来てくれるようになりました。外に出している黒板に『今日は◯◯の人無料』(◯◯の部分は日替わりでいろいろ)と書いているのですが、毎日それを見ていて、ある日「ついに自分の日だ!」と入ってきてくれた人もいます(笑)」

運営者の田中さん

多世代が利用できる場ではありますが、田中さんたち自身と近い年代の、一人暮らしや非正規などで働いている若者たちも自然と集っているそう。それは田中さんたちが、ひそかに望んでいたことでもありました。

「福祉的観点からは高齢者とか子育て世代とかが注目されることは多いですが、社会の中では、目に見えない層の人たちがもしかしたら孤立しているのではないかと、自分たちの感覚で感じてきました。POSTOは、そんな人たちの行き場にもなっていけたらと思います」

植物がおかれた入口

地域の場作りというと、まず「何のために」「どんなことを実現するか」という目的が明確にしなくてはと考えがち。しかし、3人の若者たちは、そういった考え方にとらわれることなくPOSTOを作りました。そこには「(一般的な)場所作りのルールを破りたい」という思いもあったそう。彼らが「面白いかどうか」を大切にすることで、独自の色が滲み出し、そこに引かれる人たちが自然と集っています。

立ち上げ時に行ったクラウドファンディングのページには、田中さんによる次のような言葉が記されています。
「(POSTOという)店名には、人が役割や立場を脱ぎ捨ててただの人でいられるただの場所であってほしい、という思いが込められています」(Motion Galleryより引用)

自分たちのペースで活動しているPOSTOのメンバー。たとえば田中さんは読むことを中心とした塾も運営していて、経済的にも自立しています。卒業して、就職して…というルートだけが正解ではなく多様な生き方、働き方があってもいいはず。

「自分たちにとって、楽しい、楽、快適な形を目指しています。その結果が今のPOSTOだと思うんです。それに(地域で)知っている人がたくさんいると、何かあったときに助けてもらえたりしますしね」

既存の概念に縛られることなく、運営者の個性が自然と心地よいムードづくりにつながっているPOSTO。これから、ますます面白い場所になることが期待されます。

張り紙:FREE from Wi-Fi 「Wi-Fiからの自由 」が、ここにあります。

張り紙:この先、PC・スマホ、使えません・

POSTO内ではPCもスマホも使わないというルールも。

取材・執筆・撮影:コサイト編集部(NPO法人ちょうふ子育てネットワーク・ちょこネット

POSTO

  •  火曜日定休 午前8時~午後8時
  •  調布市柴崎1-64-9 042-444-5504
  •  公式サイトなし(クラファンサイト